夢を追うこと

私見
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私は昔からどこか冷めているところがあって、ほとんど夢を語ることがありません。

まだ小学校にも上がっていない小さい頃なんかは、それこそ「新幹線の運転士になりたい!」とか言っていましたが、それはただの憧れであり、本当に運転士になろうとは思いませんでした。

父親が公務員でしたので、私も公務員を目指して、学校の勉強はほどほどにやっておいたほうがいいかな、くらいに思って、学生時代は過ごしていました。

本来であれば、公務員といってもいろいろありますので、何をやりたいかによって、必要な知識や経験も変わるわけですが、そのような発想は一切なかったですね。

高校に入って、パソコンを触るようになってから、そちらに興味を持つようになり、大学も理系で情報系に進みました。授業の内容はとても楽しく、今につながっている知識も多く得ることができました。

ただ、夢があるわけではなかったので、明確に就きたい仕事があるわけでもなく、たまたま求人が出ていた近所のパソコン関係の会社から、社会人生活をスタートさせました。

一度会社に勤めればこっちのもんで、何年か勤めて転職活動をするときも、自分の夢ではなく、前職でどういうことをしていたかを話せばいいので、理由はいくらでも後付けできました。なんの仕事をやろうか決まっていなかった最初の就職のほうが少し悩んだかな、と思います。

夢がなく、やりたい仕事も具体的にありませんでしたが、今に至るまで、なんとなく過去の経験や知識を生かせる仕事に巡り合い、なんとかやって来られている感じはします。つくづく運がよかったんだろうなあと思います。


そんな適当な人間が言うのもナンですが、夢を抱いて頑張っている人は、とても大変だと思います。

よく「夢は最後まで諦めずに頑張れ」と言われますが、それを信じて苦労している人が、本当に報われているのかどうか。報われてほしいですが、現実は厳しい気がします。

なぜかというと、夢に対するとても強い思いはありながら、なかなか将来のことを思い描くことは難しいからです。

夢を抱いている人は、夢は叶うものと考えて、あとは頑張り次第と考えてしまいがちです。諦めずに夢を信じ続けることが大事だと信じ、どう動くかは次に考える、というわけです。

しかし、大事なことは、信じ続けることではなく、夢を実現するために必要なものはなにかを考えて、行動することにある気がします。

夢は個人差がありますが、なかなか叶わない夢ほど、そのための準備が必要で、すぐにできるようにならなくても、小さな目標を立てて、一つずつクリアしていくことが大事になるかと思います。


たとえば、アナウンサーになりたいという人がいて、憧れのアナウンサーがいたとします。

その人と同じ大学に行けば、可能性はあるのでは?と思い、一生懸命勉強して、大学に入れたとします。そこは素晴らしい。

そして、アナウンサーに必要な基礎知識を身につけるため、アナウンサー学校に入ります。それも、憧れのアナウンサーと同じ道をたどります。

そして就職活動の時期、どうなるでしょうか。同じようにアナウンサーになりたいと憧れる人がたくさんいます。自分より優秀な人がわんさかいます。書類、一次試験、二次試験、三次試験と選考がくりかえされ、年にたった数人しか新人アナウンサーに採用されません。

あるデータでは、アナウンサー就職の倍率は1000倍とも言われます。競馬で1000倍の馬券を狙うと考えたら、すごい低い確率です。それを、1〜2点の買い目で当てようと言うわけです。

それだけ確率的にもすごく難しいことに対して、夢への思いの強さだけでは戦えませんし、地道な努力も必要で、仮に実力があっても採用されるとは限らない世界です。

しかも、社会の情勢や技術の進化は目覚ましいものがあります。アナウンサーに限りませんが、たとえば今現在、社会にとても必要とされているものがあって、それに関わる仕事を目指して勉強していたのにもかかわらず、5年後にはもう社会的に不要になっていた、ということもありえるわけです。


そう考えたとき、夢を叶えるために大切なことは、夢を諦めないことではなく、夢を叶えるためにどのようなことが必要かを洗い出し、いつまでにここまでできるようになる必要があり、そのためにまず何をするか、次に何をするかなどの計画が大事だと思うわけです。

そして、その計画の中で、内容的にも時間的にも小さな目標を立てて、目標をクリアしていくこと。もし、それが達成できなかったときには、もしかしたら自分には向いていないんじゃないかと、別の道に進む勇気も必要だと思うのです。

また、時代に合わなくなるおそれもあることから、常に社会の情勢を鑑み、軌道修正することも必要かと思います。そのためにも、短いスパンで小さな目標を立てて、少しずつ進めていく必要があります。ゴールだけ決めて突き進んでしまうと、取り返しがつかなくなってしまいます。

夢が叶うと信じ込むのは思い込みであり、現実逃避になります。そうではなくて、自分で実現できる計画を立案し、自分の責任で実行して、夢を実現させるという考え方が大事でしょう。

神社でお参りするとき、「〜〜が叶いますように」とお願いすると良くないと言われます。「〜〜が叶うように私は頑張りますので、見ていてください」とお願いするのがいいそうです。それと考え方が似ている気がしますね。


・・・で、結局何が言いたいかというと、いろいろ書いたものの、私は全然それらができていないということです。

自分はそこまで真面目に生きていませんし、真面目に生きなくても、充分に生活できてしまうということです(贅沢な暮らしはできませんが)。

なので、みんな夢を追い続けて苦しむくらいなら、無理しないで諦めてもいいんじゃないかな、と思います。

趣味でもなんでも、やりたいときにやれる時代ですので、あえて仕事にしなくてもいいし、うまくいってから仕事にしてもいいんじゃないかな、というわけです。

どんな仕事でも、やってみれば自分が気に入るところはあるものですし、お給料が安くても、生活ができて、たまに競馬ができるおこづかいさえあれば充分と思おうじゃないかと、そう自分を慰めている今日この頃です(苦笑

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