大戸屋の買収騒ぎ

私見
この記事は約3分で読めます。

大戸屋がコロワイドによる敵対的TOBに反対するというニュースを見ました。

大戸屋は、ご近所にもあるかもしれませんが、日本の家庭料理で出るような和食を中心としたレストランチェーン店で、今どきでは珍しく、工場での一括調理はせず、店の中での料理人による調理にこだわっているお店です。全店舗でお店の中で調理して出しているので、料理が出るまでに少し時間がかかりますが、レンチンだけの料理とは違った、手作りの味が楽しめるということで、一定のユーザーを獲得しているように見受けられます。

対してコロワイドは、居酒屋甘太郎や焼き鳥センターなどを経営する居酒屋チェーン店で、大戸屋の株も持っており、すでに筆頭株主になっています。そこからさらにTOBを進めることにより、子会社化を目指しているといいます。子会社化したあかつきには、経営方針として、合理化、採算化のために、工場での一括調理も考えているとのことです。

大戸屋のこだわりと、コロワイドの合理化、という対決構図になっています。敵対的TOBというところからも、コロワイドが大戸屋を攻撃している、という印象を受けます。

この時点では私は、大戸屋は気の毒だな、お店のこだわりが失われたら、もはや別モノになってしまい、創業者は泣くだろうなあと、少し残念に思っていました。

しかし、そのあと調べていたら、いろいろな事情があることがわかりました。すでに創業者は、別の意味で泣いていたのです。

その説明の前にまず、日曜夜のドラマの半沢直樹を観たお話をさせていただきます。・・・関係ないだろ、と思うかもしれませんが、まあお聞きください。半沢直樹の第一話の中で、ちょうど敵対的買収の話が出ていて、勉強になったのです。すみませんが、まだ観ていないかたは読み飛ばしてください・・・

(ネタバレここから)

若者3人が立ち上げた、とあるベンチャー企業が大躍進。その企業を敵対的買収しようとする企業が現れます。大量の株の買収にはもちろん資金が必要ですが、そもそも今株を持っている人が手放してくれないと、株を買い占めることができません。そんな中、ベンチャー企業の創業者3人のうち2人が、意見の相違で退職し、一人社長に。退職した2人はベンチャー企業の株を大量に持っていましたが、一人社長にうらみがあることもあり、銀行から持ちかけられたうまい話に乗って株を手放すこととなり、それを敵対的買収を企てる企業が買い取り、敵対的買収に成功、というストーリー。

(ネタバレここまで)

このお話の構図が、大戸屋とコロワイドの話にそっくりなのです。

大戸屋は、一軒の町の食堂から始まり、400店舗を超えるチェーン店に成長しました。創業者である三森栄一さんのあと、息子さんの三森久実さんが継ぎ、会社が大きくなりました。そのあと三森久実さんが亡くなり、後継争いが発生。息子さんの三森智仁さんが継ぐ流れもありましたが、智仁さんはまだ20代。経験不足を指摘され、いとこの窪田健一さんが会長に就任。智仁さんは香港支店へ。窪田会長は修行させるつもりでしたが、智仁さんとお母さんは左遷されたと激怒。智仁さんは会社を去ることに。

そこで、もともと株を買い集めてきたコロワイドが、元創業者一族に声をかけ、現在の社長にうらみがあることもあり、コロワイドに株を売ることになり、現在はコロワイドが筆頭株主になりました。これ、半沢直樹の第一話に似ていませんか?

コロワイドは、さらに大戸屋の株を買い集めるため、TOBを実施。焦る窪田会長は株主に対して、大戸屋の株は売らないように声がけしている状況です。今後どうなるか、半沢直樹とともに先が気になっています。

 

タイトルとURLをコピーしました