新しいパソコンを買ったのをきっかけに、また再開したいなあと思ったことがあります。パソコンで音楽を作る、DTM(Desktop Music)です。
素人がやっている趣味なので、レベルはぜんぜん高くないですが、楽しいのでけっこう長く続いています。せっかくなので、少し私のDTM遍歴を振り返らせてもらおうと思います。
PC-98 時代
最初は、高校時代です。人生で初めて手に入れたパソコンは、NECのPC-9801という機種でした。うちの親が、誰から話を聞いてきたのか、「これからはパソコンの時代が来る」と言って、高校入学と同時に買ってくれたものです。
親の期待に反して、ほぼゲームばっかり遊んでいましたが、MS-DOSという昔のOSの設定をいじったり、BASICというプログラミング言語を勉強したり、キーボードの打ち方を覚えたりしました。今につながるパソコンの基礎が少し身につきました。そのあと一気にパソコンの時代になりましたので、うちの親には先見の眼があったのかもしれません。
そんな高校時代のある日、部活の先輩の家に遊びに行くと、パソコンがあり、そのパソコンのスピーカーから、よく知っているゲームの音楽が流れてきました。聞くと、パソコンで作ったとのこと。初めてDTMというものを知った瞬間でした。
さっそく私もやってみようと、秋葉原で中古の「FM音源ボード」というものと、「音楽ツクール」というパソコンソフトを買ってきて、DTMを始めました。ファミコンのようなピコピコ音を使って、ドラクエなどのゲーム音楽をよく打ち込みしていました。
もっぱら、ゲーム音楽を耳コピして、再生して楽しんでいるだけでしたが、たまにオリジナル曲も作ったりしました。今はパソコンが動かなくなり、当時はCDもMP3もないので、そのときの楽曲は残っていません。まぼろしの名曲(?)です。
SC-55 時代
PC-98のあと、Windows95、98、XPと、Windowsの時代に入り、パソコンもDOS/Vと呼ばれるものになりました。そのころは自作パソコンにハマり、バイトをして稼いだお金で、ケース、電源、マザーボード、CPU、メモリ、HDDなどを全部バラバラで買い揃えて、家でパソコンに組み立てて使っていました。メーカーのパソコンよりも、安くて性能のいいパソコンを作れるのが楽しく、またパソコンのソフトウェア、ハードウェアの勉強にもなりました。
その頃に買ったDTM用の音源が、Rolandの「SC-55mkII」でした。DTMファンに人気がある機種でした。秋葉原のソフマップで、ちょっと傷は多いけど中身は無事な中古商品を買いました。PC-9801のFM音源と比べると、リアルさが全然違うので、驚きました。その頃もゲーム音楽や、J-POPの耳コピをしていました。
DTMソフトは、いろいろ試した結果、フリーソフトの「MusicStudio」に落ち着きました。とても使いやすく、説明も豊富で、動作も安定していて、困ることがありませんでした。直前のWindows7まで、このソフトをずっと使わせてもらっていました。
この頃から、MIDIと呼ばれる電子音楽の規格について勉強しはじめました。ベロシティ、ピッチベンド、モジュレーション、テンポ、およびコントロールチェンジという音をいじる命令や値の設定があり、それによってさまざまな表現を行えます。最初は覚えるのは大変でしたが、やっているうちに覚えていきました。その後、覚えた知識からMIDI検定3級と2級を取ることができました。
SD-80 時代
SC-55mkIIの次には、「SC-88Pro」という、こちらも人気の音源があり、とてもほしかったのですが、お金がなかったので買えませんでした。
そのあとに出た「SC-8850」も、とてもほしかったのですが、やっぱり買えませんでした。かといって、廉価版の「SC-8820」を買うのも気が引けたので、我慢しました。
さらにそのあと、SCシリーズの後継として、SDシリーズが出ました。SDシリーズの中で、「SD-90」という機種がとてもほしかったのですが、発売当初は9万円もする製品で、お金がなかったので買えませんでした。
なので、「SD-80」という下位クラスの機種を買いました。下位クラスでも定価7万円もする高価なモノでしたが、うまいこと中古で見つけて、5万円でゲットしました。
SD-90とSD-80の違いは、オーディオインターフェースがついているかついていないかだけで、MIDI音源の音色はまったく同じでした。それでこれだけ安く買えるなら、お得だと思いました。オーディオインターフェースがついているメリットがいまいちわからなかったというのもあります。
SD-80の音はとても素晴らしく、リアルで、クリアでした。プロが楽曲を作るのにも使える、高いクオリティがありました。MIDIキーボードをつなげて、音を鳴らすたびに、高揚感に包まれたものです。
高機能がゆえの苦悩
しかし、このあたりから、うまく製品を使いこなせなくなってきました。とにかく音色が多く、どれを使っていいかわかりません。また設定も多く、いい音をさらに変化させるために、いろんなパラメータをいじる必要もあり、とにかく使い方が難しいものでした。これはやばいものを手に入れてしまったと。
とりあえず、好みの音色を選んで、何曲か作ることはできましたが、ほぼ宝の持ち腐れになっていました。
さらに、音源の音がよくなったおかげで、それまでは気にならなかったことが問題になりました。録音時の音質やノイズが気になるようになってきたのです。
私はだいたいDTM音源にスピーカーをつなげて、そのまま流して聞いて、自己満足に浸って終わりだったのですが、やはり録音して、CDやMP3にして、別の機器で聞きたいな、と思うようになりました。
しかし、そのときの機材が、アナログ端子にアナログケーブルをつないで行うアナログ録音しかできなかったため、低品質の録音しかできなかったのです。どこが悪いのか、ザーザー、シャーシャーと雑音が入ります。パソコンの性能も低いので、パソコンが忙しくなるたびにプチプチノイズも入りました。
MP3プレイヤー、携帯電話など、再生する機器のほうがどんどんと進化していく時代に、せっかく作った音楽の録音品質が悪く、がっかりする状況でした。もしかしたら、SD-80ではなく、オーディオ機能付きのSD-90を頑張って買っていたら、解決していたのかもしれませんが、たぶん私には使いこなせなかったと思います。
ネットの情報でいろいろ試しても解決できず、お金もなく、仕事も忙しくなりながら、いつの間にか、DTMから徐々に離れていました。
復活のための決め手
DTMから離れていた中でも、いつかまた再開したいとはずっと思っていました。再開するための一番の課題は、録音したときにも高音質を保つことでした。そのためには、アナログではなく、デジタルそのままで音を出力できることがポイントでした。
それを考えたときに、頭に浮かんだのは、テレビでプロのミュージシャンが、パソコンで演奏、録音をしている場面でした。
小さなノートパソコン一台だけで、周りには音源は見当たりません。ソフトウェア音源が内蔵されているのです。パソコンでDTMソフトを動かして、外付キーボードで弾けば、音が出ます。リアルタイムで演奏したメロディーを録音して、伴奏と合わせれば、楽曲が再生されるのです。録音も、そのパソコンの中でできてしまいます。
まさに、これがやりたい!と。
PC購入とともに再挑戦
そんな願望を温めながら、ようやく先日Windows10のパソコンを手に入れて、ついにそれが実現しそうな感じになってきました。
パソコン購入の大きな目的は、最新のOfficeを使うためでしたが、DTMに関する野望も忘れていませんでした。
DTM用ソフトとソフトシンセと呼ばれる音源、オーディオインターフェースによる録音をパソコン一台で行なって、デジタル処理で行えば、音質の低下を抑えられます。パソコン購入にあたっては、それに耐えられるスペックのパソコンを選びました。私はやりませんが、やろうと思えばパソコンだけ家の外に持っていって、どこでもDTMができる環境です。
今回のモチベーションがいつまで続くかわかりませんが、ひとまず環境は手に入れたので、マイペースで楽しくやっていきたいと思います。
そんな、DTMと私でございますが、はたしてこのあとどうなることやら。
とても長くなってしまいましたが、次回はさらに読者そっちのけで、今回から使用することにしたDTMソフト、音源、オーディオインターフェースについて書いてみたいと思います。