立川談志師匠は生前、「人生は、死ぬまでの暇つぶし」と言っていました。私も共感するところがあったので、人生をあまり重く考えずに、適当に生きております。適当すぎるとよく言われますが。
師匠の言葉のとらえ方を少し変えると、「私たちは、暇つぶしをして生きているんだよ」とも言えます。
生きることだけなら、食べて、寝て、おトイレに行って、たまに身体を動かして、ということだけでいいわけですが、それだと暇なので、仕事をしてお金を稼いでみたり、遊んでみたりしているわけです。
暇つぶしのことを言うと、今の時代は非常に娯楽が多くて、暇つぶしに困らないですね。みんなスマホを持っていて、いつでも映画やドラマ、アニメなど見放題で、ゲームも遊び放題ですね。便利な世の中になったものです。
そんな便利な世の中において、最近の若い人の中では、「タイパ」というものを意識することが多いようです。タイパとは、タイムパフォーマンスの意味で、コストパフォーマンスから連想した造語だそうです。費用対効果ではなく、時間対効果ですね。
タイパを意識する人たちは、別のことをしながら「ながら見」をしたり、映画を2倍速で早送りで見たり、短くまとめられたもの(ショート動画)を見たり、なんなら見る前からオチを調べて内容がわかった上で見る、みたいなことまでするようです。
私は、ほかと同時進行の「ながら見」はよくやります。最近のテレビドラマはとても分かりやすく、親切で、じっくり見なくても細かく説明してくれたりするので、たいていパソコンを触りながらドラマを見ています。
昔のドラマは、展開がどんどん進んだり、セリフにない重要なポイントが映像にあったり、表情で読み取ったりなど、ちゃんと集中して見てないといけなかったりしたのですが、最近は親切仕様ですね。人によって内容の理解で見解が分かれることが減りました。
ながら見はよくやりますが、2倍速はやったことないですね。うちのレコーダーにも倍速再生はありますが、倍速で真剣に見るくらいなら、等速で、ながら見のほうが楽です。
短くまとめられたものというのは、ありがたいもので、仕事のための調べごとで、要点がまとめられているものがあると、とても助かります。娯楽に関しても、サッカーワールドカップのとき、結果だけニュースで見て、それだけでみんなの話にはついていけましたので、そういう感覚だと思います。
ただ、暇つぶしで見る映画などを短く見るというのは、どうなんでしょうね。ましてや、先にオチを知っておくというのは、何のために見るのかな、と思ってしまいますね。
今の若い人の考えがいいとか悪いとかではなく、決定的に違うのは、暇つぶしのコンテンツの量だと思います。そして、その量をこなすための方法がタイパであり、方法自体が目的になってしまったのだと思います。
タイパよくコンテンツを消化し、友達との会話でどんな話が出てもついていけることが、今の人にとって大事なのでしょう。
暇つぶしが多いのは、よいことです。昔の時代は、モノがなく、娯楽がなく、暇つぶしで結婚したと言ったものです。
娯楽がなかったときの暇つぶしは、一つの映画を何度もくり返し見たり、モノがいらないおしゃべりをしてみたり、妄想してみたり、そんなことをしてきたわけです。
また、好奇心を持って物事に興味を持ち、わからないことは調べる、というのも暇つぶしになります。私はどちらかというとそういうタイプで、知らないことがあるとつい調べたくなるので、いくら時間があっても足りません。暇つぶしに困ったことがありません。
どんな暇つぶしでもよくて、どっちがいいとかではないですが、ひとつ言えるのは、妄想にはお金がかからないので、オススメですよ(笑