月曜日に、東京で奈良の歴史イベントがあり、日本書紀と古事記のお話を聞いてきました。時代背景ごとに見解が異なる日本書紀の研究の変化や、記紀成立の経緯による日本書紀と古事記の違いなどのお話を聞くことができました。大変勉強になりました。
さかのぼること8年前、2012年に、古事記の完成からちょうど1300年を迎えました。そのころ軽く古代史ブームがあり、古事記や古代史関連のイベントが開催されたり、関連本が出版されたりしました。今でもブームは細々と続いていると感じます。初心者にも分かりやすい解説本が多く出されることは、とてもありがたいことです。
そして今年2020年は、日本書紀の完成1300年という節目の年です。さぞや盛り上がるであろう・・・と思いきや、いまいちパッとしませんね。そもそも、日本書紀ってなに?という状況かもしれません。
日本書紀と古事記の大きな違いは、何を隠そう、読んでて楽しいか、退屈かです。古事記のほうがストーリー仕立てになっており、人間味があるキャラクターが出てきて、ストーリーも面白い。昔から人間って変わらないんだなぁと思うところもあれば、今では考えられないような発想もあり、新鮮味もあります。
なので、古事記に関する本のほうが圧倒的に多いです。素材として面白く、ネタになるからです。無理やり面白おかしくいじっている本もありますが、それだけキャラがしっかり立っているということです。日本書紀は、会社の沿革みたいに、時系列にただ説明が並んでいるだけなので、あまり楽しくないのです。なので、あえて読みたい人しか読まないと思います。
一方で、歴史的に信憑性が高いほうはというと、日本書紀のほうが信頼度が高いです。中国の正史にならって、海外(主に中国)に日本のことを知ってもらい、独立した国家と認めてもらうために書かれたものなので、しっかり丁寧に、できるだけ事実に即して書かれています。当時の政権の権利者によって書かれたため、多少のひいきはあるものの、ウソは少なめです。また、なるべく多くの見解を集めるため、書かれた当時の他の文献も多く参照して載せています。
日本の学校でも、昔は日本書紀を教えていたそうです。戦後に、日本の軍国主義を廃するために、教科書から消されましたが、それまでは日本の歴史を知る上で、勉強の教材になっていたわけですね。
かく言う私も、実は日本書紀の全文を読破したわけではありません。難しすぎますし、退屈すぎます。わかりやすく説明された解説書の抜粋を読んだ程度です。いずれしっかり読まないといけないとは思っていますが、まずは抜粋のほうから読ませていただき、特に日本書紀と古事記の記述を比べながら、書かれた背景、真偽のところを探ってみようかなと思っております。そのきっかけをいただけたので、今回の歴史イベントは大変貴重な機会だったと思っています。
なお、参加者は9割以上がご高齢のかたでした。コロナ対策でイベント中止が相次いでいますが、ギリギリのタイミングで開催にしたそうです。次の週だったら中止だったかも。先生、参加者の皆さまお疲れ様でございました。